この世界には地獄しかない

2年前に辞めた会社の上司と後輩と飲んだ。なんでこんな席が設けられたかというと、古巣が吸収合併されるのだそうだ。

上司も後輩もそんなそぶりは出さず、2年ぶりに会う僕と話を合わせて、今の御社の状況をやんわりと教えてくれた。

 


僕は前の会社には感謝している。

確かに残業代も支払れなかったし、無茶な案件も多かったが、直属の上司だけでなく、社長まで優秀な新人を育てて会社の未来を託そうという気概があった。

そんな環境で僕は今思えばかなり好き勝手やらせてもらえたし、そのおかげで溜まったスキルは今にもつながっていると実感がある。

でも、そんな会社でもそういう体制をよく思わなかったり、出てくる数字が芳しくないことも多々ある。そんなときに僕の上司は時に激しく、時にやんわりとうまいこと僕を自由にしてくれていた。今になってそれがわかる。

 


そのおかげで、今の僕があって、零細企業である今の会社で、ある程度幹部に信用をおかれて仕事ができていることは、これまでの失敗を許してくれたかつてよ上司のおかげだと思っている。

 


さて、僕が去った会社の話である。

恩ある上司も、投げやりな意思を継いでくれた後輩も、新たなルールの中に身を置かれるのだ。

正直言って僕等がいた部署は特殊だった。今にして思えば金をもらって日々社会勉強をさせてもらっていたようなものだ。

 


ここで育った僕等は程度の大小はあれ、どこかしらで生きていけるようには思える。ただ、僕を育ててくれた上司が今後どうなって行くかを考えると不安でしかない。

 


作る人が消え、買う人が消え、この国が収縮して行くことはもう避けられない未来だ。そんな中で僕が大切に思う人たちが、どれだけ幸せに生きていけるのか。

いらない心配を常に抱きながら、僕は今日もアルコールでふらついた視線の先にこのスマートフォンを眺めているが、ふとブログの記事が目につく。

 

側から見たら明らかにブラックな会社で勤めるあの人が、新たに努めた会社で無理難題に襲われる内容だ。

読む

 

ああ、思う。

 

この世は働く限り地獄なのだと。

 

生き、生き延びることは地獄なのだと、地の果てで思うのであった。